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2024年07月19日(金)更新

式楽

江戸時代の話です。幕府は公認の芸能を定めました。その中にお能がありました。更に幸若舞曲もありどちらも幕府の正式な行事の中で演じられました。幸若舞は普段見かけることがなく、中には今では伝えられなくなったといったことも言われますが、実際には福岡県のみやま市に伝わる重要無形文化財です。
お能の方はお正月などに正式な行事として各流派から大夫クラス(ご宗家)が一番ずつ演じられますが、初めにまず演じられるのは「翁」が演じられますので6番が1日の内に演じられることになります。これらを式能として江戸時代を通して行われていました。今から50年ほど前からこの式能が復活され、1年に一度国立能楽堂で丸々1日をかけ行われています。お能な間には狂言も演じられますので、朝10時から夜7時過ぎまでかかる大仕事です。見る方も前半後半に分けチケットも販売していますが、やはりこのような舞台は通券で長時間見るのも楽しみの一つです。三年前から私も気合を入れて観能に出かけています。楽しみの一つは式能ですと必ず翁が舞われます。それにご宗家が大体演じられます。翁はあまり見る機会がありませんので式能は楽しみです。また、この式能が江戸時代を通して行われてきたことを考えるだけでも楽しく観ることが出来ます。
一方の幸若舞で勘違いされるのは信長が「敦盛」を最後に舞ったことが伝えられていますが信長の舞った敦盛は幸若舞の方です。お能を習う方の中にはこの敦盛を舞いたいと習う方がいるそうですが、何時まで経っても習えず、ついに何時になったら敦盛を教えてくれますか、と聞いたところ、あの敦盛はお能にはないと言われ、驚いたという話があります。
勘違いするのはテレビの中で信長役の高橋幸次に恐らく能役者が振り付けを担当されたからではないかと想像します。

一度福岡へ出かけ幸若舞を見たいものです。
 

2024年07月04日(木)更新

お能の話

少しばかり体調を崩しここ3か月ほどお能に出かけていませんでした。今月は3回ほどチャンスがありますが、体調万全にしていくようにしたいと考えています。先ごろ千駄ヶ谷にある国立能楽堂で唐船が上演されました。当日券を購入すするつもりでいましたが、残念ながら貧血で出かけることが出来ませんでした。狛江青年会議所の理事長経験者の中村正弘先生がシテ方で上演されることになっていました。残念なことをしました。JCの後輩である中村先生を舞台でよく見かけますが、いつも楽しみにしている方です。

お能の一つの見方で子方(7~8歳から13歳くらいまでの声変わりする前の役)が出るお能を楽しみにしている人たちがいます。またそうではなくとも子方の出る部隊は楽しいものです。子供としての役割が普通だと思いますが、明らかに大人の役を子方が務める舞台もあります。天皇や義経の役割はほとんど子方が務めます。義経の出る有名な舞台は安宅や船弁慶などがあり、セリフも沢山ありいつも楽しみにしています。
一方で本物の子供の役として出る舞台に唐船(とうせん)があります。唐船の場合難しいのは子供のセリフが長く、それも子方だけで4名必要になります。この様な時は、それらをこなしてくれる子方がいる時のみ上演が可能となります。今回この唐船を中村先生が演じられましたが素晴らしい舞台の様でした。子方のセリフも見事だったに違いありません。同じ金春流で唐船が演じられたのは30年前でした。
また鞍馬天狗は子方が沢山出ます。6人から9名ほど出ます。全員鞍馬寺の稚児役です。こちらも子方を集めるのも苦労がいるようです。牛若丸も出ますが、こちらも子方です。一つの舞台に舞台の同じ流派で10名ほどの子方を揃えるのはきっと大変です。多くの子方は能役者のお子さんたちですからこれらの舞台が初舞台となることも多くあります。
面白く感じるのは優れた子方がいる時だけ上演可能というところです。

13日は国立能楽堂で鞍馬天狗が上演されます。楽しみにしています。
 

2024年06月26日(水)更新

エンジン音

しばらく前の話です。水素のボンベをコンビニで売る時代が来る。それを購入し水素エンジンの車の燃料にする。何か夢のように感じました。
ご承知の通り水素エンジン車の廃棄ガスは水蒸気(水)だけしかありません。それだけに環境には最も優しいエンジンと言われています。確かに水だけが出るのであればそうなります。
一時期ヨーロッパもアメリカも一気に電気自動車になると言われ世界中の自動車メーカーがその開発に勢いをつけていました。勿論今でもその傾向は強いのですが、ドイツのBMWとトヨタはその開発を続けていました。6年ほど前トヨタはアスカを出し水素エンジン車の先鞭を付けました。今また、トヨタはクラウンに水素エンジンを乗せた新車を先ごろ発売しました。
今回相談役がそれを購入しましたが、今その車は私が載っています。随分快適な車です。エンジン音はほとんど聞こえず。聞こえてくるのはエアコンの音だけです。不思議な感じがします。
先週木曜日ホテルの駐車場に私の後に行ってきたロータリークラブの仲間がイタリアの車に乗っていました。そのエンジン音のすごさは普通ではありません。腹の底に響き渡りました。車に乗る楽しみの一つはエンジン音です。ヨーロッパの車はみんな音が違います。それを聞くのも楽しみです。

電気自動車も水素エンジン車も、車に乗る際の大きな音の楽しみは全くありません。それでも環境問題は大事なことになります。
 

2024年06月07日(金)更新

四海波

お能の高砂の中にある小謡です。これは日本の周りは海で囲まれています。確かに東西南北全て海です。その海が静かで平和な世の中を望みかつ実現させたい(天下泰平)と謡っています。
能舞台ではお正月などめでたい席で謡うことになっています。特に能楽師の先生方の結婚式には必ず四海波が謡われます。また、能五流の中では観世流の歌詞が他の流派とは異なっています。

最後のところです。

観世流

 君の恵みぞ ありがたき 君の恵みぞ ありがたき


となっていますが

他の四流(金春流、金剛流、宝生流、喜多流)

 君の恵みは ありがたや 君の恵みは ありがたや

と繰り返します。

能楽師の先生方の結婚式では四海波を謡うのが恒例となっているようですが、観世は勿論「君の恵みぞ ありがたき」と謡い、他の流派もある種遠慮があり、観世に合わせるようですが金春だけは大いに声を高くして「君の恵みは ありがたや」と歌うことで金春ここにありを示すのだそうです。
こんなところにも五流派の性格が表れている気がします。

明日はインパックの守重信乃さんの結婚式がありますが、この四海波を謡ってきます。本人は大分嫌がっていましたが、押し通してしまいました。
まるで金春の様です。
 

2024年05月15日(水)更新

二年ぶり、神田明神薪能

昨日の神田明神薪能は寒い夜となり、本当に冷えましたが皆さんコート持参でした。私は背広の下にベストでした。妻は軽いコートを持ってきていました。その位で丁度良い夜となりました。
今回で確か5回ほど伺っていますが、席は1列1番、2番と素晴らしくいい席を頂きました。知り合いの方が主催者の関係で席は頼みますが売れ行き次第でどこでもいいことになっています。今回のように一番前は初めてでした。お隣は紫式部ですっかり有名になった根本知さんでした。きっとおえらい方なのでしょうが、どなたが来ても普通に対応されていました。感じのいい方でした。
この日は神歌に始まり狂言の貰婿、お仕舞は杜若、お能は葵上です。
神歌は金剛流のご宗家の金剛永謹を中心に素謡形式で披露されていました。開催場所が神田明神だけに神歌は最もふさわしいものでした。今日の構成はお仕舞が「杜若」でしたがこれは時期のものとして選ばれたのでしょう。杜若のキリ(最後の数分間の部分)を舞われましたが、お持ちになっている扇子の柄は金地に杜若が描かれた見事な扇子でした。
最後の「葵上」は何といっても現在NHKの紫式部が大人気ですから選んだのだとおもいます。見どころは物の怪に取りつかれ鬼と化した葵上と呪文を唱えながら鬼を出そうとする
小聖(比叡山横川)の戦いですが、最後はついに小聖に祈り伏せられ心安らかになっていきます。シテ方とワキ方の見事な戦いの演技でした。葵上の面(般若)は目と牙が炎の明りに反射し本当に怖かったです。

神田明神という、普段は祈りの場で行なわれたお能の会は恐らく演じられた先生方はやりづらかったと思いますが、これからもぜひ続けてほしい薪能です。
 

2024年03月21日(木)更新

自由な想像力

お能の特徴の一つは舞台上にはほぼ何もないといったとことでしょうか。見る側の想像力が問われる舞台だともいます。今月一度歌舞伎座に参りましたが、これでもかといった具合に舞台が移り変わり、驚くほどの精巧さで舞台が作り出されます。見る側は話の筋を一層分かり易く理解することが出来ます。

その意味ではお能の場合は言葉もわかりづらく背景もないことから、余程理解している人以外お能という舞台芸術を単に見ているということになってしまいます。これらの解決策は見る回数を重ねるしか(お能千番:黙ってお能を千番見ましょう)言いようがないようです。さらに言葉が聞き取れるようになってくると今度は言葉の意味や、その場所の意味など更に理解を深めなければいけない事が次々出てきます。


私の場合、それでも出かけていくのは700年続く舞台が当時とほぼ変わらぬ姿で目の前で演じられている事実の重みです。確かに衣装は豪華になって来た様です。また演じられる時間も随分長くなったようです。舞台衣装の中には足利将軍や秀吉から賜ったものもあり、時にそれらを身に着けることもあるようです。このように、長い歴史の中で変わらず能舞台で演じられる姿そのものが貴重なことだと考えています。


私は理解を深めるために舞台に通いますが、それを補完するためにNHKの「FM能楽堂」とFM鎌倉の「お能への誘い」をよく聞きます。また、ユーチューブ等のお能は参考になることがたくさんあります。


早く舞台上の事柄が目の前に浮かぶようになりたいと考えています。
 

2024年03月12日(火)更新

松竹

江戸から明治になり、各芸能関係者は大変なご苦労があったようです。お能は今まで将軍家や各大名家にお抱えの芸能として生活には困ることがなかったのですが、明治になり一気にその関係性は断たれました。
歌舞伎は将軍家とは関係のない庶民のもので、いきなり困ることはなかったようです。更に歌舞伎と文楽は松竹がスポンサーとなりビジネスとして成り立ちましたので、歌舞伎は一層発展していくことになりました。しかし文楽はかなり早い段階で松竹と関係性を断ち切られました。一人で生きていくとなると厳しいことになります。

一昨日歌舞伎座へ参りましたが、さすがに松竹です。現在の歌舞伎座は五代目の様です。設計は隈研吾氏のお仕事です。外見の重厚感と言い、大きな舞台をもつ建物は客席には柱一つなく一階席から三階席のどこに座っても舞台を見ることが出来ます。この空間が大きな外観の建物になっているのでしょう。
私は車で出かけていますが、車での来場者に対してもいい対応をしてくれます。また1時間分の無料サービス更に時間当たりも500円と銀座周辺としては安い設定になっています。

このような対応のできる歌舞伎はいいとしてもお能、文楽、自ら公演企画など行う芸能はきっとご苦労の多い事でしょう。
 

2024年02月22日(木)更新

意外に多い(?)能楽ファン

最近分かったことですが、花き業界に関係する方々の中でどうやら能楽に関心をお持ちの方が何人かおられるようです。

先週の大田花きの磯村様のコラムの中に、中学からのご友人に能役者のお子様がいらして大きくなってからそのご友人にお能を習っていると、お書きになっていました。随分前になりますが、お会いした際、舞台に興味があるとお聞きしましたが、お能の事だったのかと今初めて知りました。何十年もお続けになっていることは尊敬の対象です。

更にごく最近、矢来能楽堂の九皐会(きゅうこうかい)の定期公演に出かけているお話を親しいお取引先の方から伺いました。時間を見つけてお出かけになるのでしょうが素晴らしいと思います。矢来能楽堂は観世の特別の家柄(観世宗家の分家)の観世銕之丞家の分家となっています。観世喜之先生がご当主です。この能楽堂で金春に関係する円満井会の定期公演もこちらで開いています。一度は行きたい能楽堂です。

私もこの二、三年来友人を誘い、北浦和で行われる座敷から庭で行われる薪能を見ています。
見学者も100名足らずですが、なんとも贅沢なお能の会(半能+狂言)です。金春のシテ方の先生が毎回参加されています。20年以上続いているそうです。
 

2024年02月19日(月)更新

各種芸能

昨日の日曜日は式能へ出かけていきました。

式能は現在年に一回、日本能楽協会の正式なお能の会となります。その昔(江戸時代)、将軍職を朝廷から宣下された時のような大事な時に江戸城で式能が開催されました。その意味では、当時は最も格式の高いお能の会となります。式能の式は式楽と言い徳川幕府の決めた正式な芸能です。他にも幸若舞などがありました。
お能5流派(江戸時代は四座+1流:現、喜多流)。狂言2流派全ての流派が1日で「翁」附五番立を行います。今年は観世流観世清和宗家が翁を演じました。その後、観世流、金春流、宝生流、金剛流、喜多流からそれぞれお能が演じられます。お能とは別に翁を始めに演じますが、「翁」は五穀豊穣、天下泰平を祈っての神事となります。

昨年も同じように感じましたが、翁を含めお能が6番演演じられ、更に狂言が4番演じられます。開演朝10時から終演夜7時半までの10時間近くお能を見ることになりますが、長時間になることはじめから分かっていることや番組がよく考えられ、退屈しない演目などから疲れることはありません。恐らく企画を立てる段階から相当考えられての事でしょう。
さて、芸能には今回のようなお能もありますが、大きな組織の歌舞伎や文楽などメジャーな物も有名です。しかし各地に残る芸能もたくさんあります。東大和には「清水囃」といった芸能が残っています。伝統芸能は町、村、部落の数だけ存在しています。担い手がいないことからやめていく芸能も数多くありますが、何とか継続して欲しいと思います。また、これらはその土地ではなく、東京都、NHKなどが企画を立て地域の芸能を我々に紹介しています。

小学生の頃、神楽の大好きな高校生の兄によく色々な神社に連れて行ってもらったことを思い出します。
 

2023年12月12日(火)更新

能 定家

能 定家

特に11月末から毎日が飛ぶように過ぎていきます。それでもどうしても出かけたかったお能の会が国立能楽堂であり、昨日義母の見舞いに朝早く出かけ、午後1番で千駄ヶ谷の国立能楽堂へ到着しました。普段は一人が多いのですが、今回はお能の先生の会(高橋忍先生)でしたので妻や兄弟を誘い、友人を誘い出かけました。

先生の奥様にご挨拶をすることが出来、中に入りました。今日は「定家」が上演されます。動きのないお能として有名ですが、それでも格調高い演技が続き約二時間楽しませていただきました。
圧巻は昔契りを結んだ式子内親王の墓(塚の作り物:四本の柱を上の方で結んだ小さな建物:人一人が入れるサイズ)で前シテ(村娘に姿を変えた式子内親王)がその狭い建物の中で昔の式子内親王に姿を変えていくところです。塚から再度登場する場面では全く違った衣装となっています。一人入れば一杯の塚の中でどのように着替えるのかそれも一人で行うことを考えれば不思議な舞台です。
塚の周りに張られた布を外し式子内親王が現れますが、塚の上には定家の執心を表す定家葛の根が張られ定家の執心を表しています。

最もこの方法は少し古い方に属しています。その後、着替えは一旦舞台から引き下がり、着替えは場所を変え行います。その後再度登場するのが通例になってきました。
良い番組を拝見しました。
約二時間の長いお能でした。

 
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会社概要

2018年インパック株式会社(事業会社)の代表取締役に守重へきろう就任 IPホールディングス株式会社(持株会社)設立 代表取締役に守重知量就任 2016年花の鮮度保持管理コンサルティング会社 フラワーウォッチジャパン株式会社設立(子会社) 2014年東京オフィス本社移転...

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