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2023年01月24日(火)更新

チャコボールの将来性

以前にも一度触れたことがありました。
昨年、ピートモスが今後生産が難しくなるニュースが世界を驚かせました。イギリス、スエーデンなどは確実に生産中止となりました。現在リトアニアのものが入荷していますが、今後大地を掘って生産することが一層難しくなることが想像できます。
現在オランダではピートの代わりの人口用土を開発していると聞いていますが、まだ完成したとは聞いていません。

チャコボールはインパックの用土ですが、完全に人口用土です。900度近くで燃焼するため、衛生的で安全な用土となっています。セラミックとおが屑から出来ています。これらの材料はピートモスに比較すれば、循環的に使用することが可能で、出来上がった商品(チャコボール)自体はリユースが出来ます。この商品は製造場所の群馬でSDGsの認定を受けており、環境配慮型の商品となっています。
チャコボールの使用方法には大きく分けて二つの流れがあります。一つはチャコプランツ(チャコボールを使用した鉢植え)のように植物と一体となって開発する商品、もう一方は生産者の方が農場で使用する用土としての使用方法です。この場合、何度も使用できますが、洗浄、殺菌の施設が必要になります。その代わり使用量は大きくなります。

現在は圧倒的にチャコプランツとして利用されていますが、生産者用に生産するか否かはっきりさせるところです。
 

2022年11月09日(水)更新

選択肢は一つではない!

先ごろ展示会が行われました。10月の事です。参加する機会が二度ありました。双方ともに昨年、一昨年と比較し出展者も参加者もその数を増やすことになりました。
主催者も私たち参加者も一安心いたしました。

今回の展示会で感じたことは環境問題です。長年に亘りプラスチック関連の材料で商品つくりを行って参りましたが、時代はそれだけでは不十分であることを教えてくれました。インパックで言えば紙スリーブの評判でした。今回出展した商品の中では最も人気の高いものでした。多くのサンプルやカタログをお渡ししました。すぐ紙スリーブが大量に出ることは考えられませんが、これからの時代を考えると大きな商品になって行くでしょう。既に大手量販店の花売り場では60%が紙スリーブになっています。更に切り花ばかりでなく、鉢物にも採用されることになるでしょう。すでに中国製の紙スリーブが使用されているようです。インパックは国産第一号となりますが、さらに多くのユーザー様に紹介し続けて参ります。今回の展示会を通して大手量販店様も紙スリーブのご採用が決まりました。それだけ環境問題にご関心があるのでしょう。

勿論プラスチックから紙への動きはその全てではありません。反対に紙からプラスチックへの動きもあるかもしれません。耐久性の視点では明らかにプラスチックが優れています。中には何度使用しても壊れないものがあり、場合によっては10年を超えるものもあります。それらは最終的にはマテリアルリサイクルされ、もう一度同じ製品を作っていきます。
我々は明らかに使用用途により素材を選ぶ必要があります。過日トヨタの社長は車の選択肢は電気だけではない。と言っていますが全く同感です。我々で言えば、紙かプラスチックかではなくそれぞれの用途で最適なものを選んでいく必要があります。その前提はどちらが地球への負荷が少ないか、で選ぶ必要が出てきました。
 

2022年11月07日(月)更新

白金触媒

今日は北大の先生方3名が入間のIFL(国際フラワーロジスティック:インパックのブーケ工場です)に来訪されます。今回の先生方はメインのお仕事はフードロスの研究をなさっています。その中でお知り合いになったのですが、お一人エチレンの分解の研究をなさっている先生がおられ、白金触媒でエチレン分解をすることで食品の日持ちを伸ばす実績をたくさんお持ちの方です。家庭用冷蔵庫の中にこの触媒が入り野菜の日持ちに役立っています。一昨年来その仕組みを野菜工場で実験した結果、良い結果が得られ、北海道の工場では昨年実際に使われた工場の第1号が生まれました。量販店の野菜工場です。
何回かの接触の後、今回のご来訪になりました。

生花業界でもエチレンは昔から知られ、エチレン感受性が高いと花がしおれ、つぼみや花が落ちたりしてしまいます。それ故、採花の後、STS処理がされ、少しでもエチレンからの影響を受けない努力を行っています。特にカーネーションは世界中の生産地で処理が行われ、出荷されています。

今回は花そのものにではなく、工場全体のエチレン除去を目的としています。工場や倉庫のサイズにより触媒の設置条件が異なります。今回はそこも含め、設計頂く事になりました。効果を見て来年の展示会に出すつもりです。少しでも日持ちが長くなれば消費者の皆様から喜ばれることになります。

今回は担当の常務とインパックの顧問をお務め頂いている小國先生と対応いただくことになっています。小國先生も北大農学部のご出身ですので、いい話合いが出来ると思います。
 

2022年09月21日(水)更新

確信 モノマテリアルの時代

月に一度プラスチックの勉強会を開催しています。参加者は部課長を中心に12名ほどです。本社では講師の先生を囲み、工場や各営業所の皆さんはZoom参加となっています。講師は小國先生(日本食品包装協会専務理事)にお願いしています。

今プラスチックの勉強会は時代逆行と思われがちですが、むしろ今こそ勉強をする必要があると考えています。今までプラスチックは使い捨ての風潮がありました。結果、海の汚染、処理できない大量のごみといった問題から、脱プラスチックの時代に入り始めています。しかし、石油産業の中にある包装業界の中では、プラスチックを使用したものがその主流を占めていることがすぐ理解できるほど、スーパーマーケットの食品売り場に行くと様々な食品がプラスチックの容器で包装されているのを見ることができます。プラスチックの容器がなければ、こうした食べ物を安全に食することはできません。そこには様々な工夫や技術が存在しています。
様々な食品の袋は、1枚のフィルムのように見えてはいますが、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどのフィルムを糊で貼り合わせています。つまり、それぞれ特徴あるフィルムを貼り合わせ、中の食品を殺菌する際、熱に耐えるもの、油脂の多いものにはそれに耐えるフィルムといったように中の食品の成分に合わせ、更に日持ちや輸送などのファクターを加え、包装設計をしているのです。ここで言えるのは、出来ないことはありませんが、何層にも貼り合わせたラミネートフィルムの後処理は非常に難しいということです。種類の異なるフィルムの回収、再生は難しいのです。
そこで出てきているのがモノマテリアル(単一材料)による包装です。食品を日持ちさせるには、酸素を如何に遮断し酸化を防ぐかにあります。それ故、ナイロン、PETを使用し、更にPVDCコーティング、アルミ、アルミ蒸着といった素材を使い酸素の透過を防いできました。勿論アルミは完全に遮断しますが、他の材料の中にもそれに近いものが多く存在し、これらを用いてコーティングや蒸着といった技術で酸化防止フィルムを作り上げてきました。しかしそれらはどうしても何種ものフィルムを使います。しかしモノマテリアルの考えで行くと、単一の素材だけで十分な酸素透過の基準を満たすことが出来れば、貼り合わせの必要はなくなります。具体的には汎用フィルムであるPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)にガス透過性が圧倒的に少ないシリカ蒸着を施すことで、PE単体、PP単体で十分に日持可能な包装資材が出来上がる事になります。
そうなれば後処理は非常に簡単になります。ペット容器と同じようにPEとPPだけになり回収再生の道が開かれることになります。これからの包装業界の発展には「モノマテリアル」の考えが重要になって来るでしょう。歴史的に見てもモノマテリアルは間違いなく画期的な技術となります。
 

2022年09月01日(木)更新

花の日持ち

切り花の販売を続けるインパックのIFL(国際フラワーロジスティック:入間工場)の特徴は、3温度帯でバラの保管、加工、出荷の体制を整えていることです。これらの結果、間違いなく日持ちは3日ほど違ってきます。更に3温度帯を補完する意味でエチオピアからのバラの輸入は国内の切り花の輸送より安定した状態でIFLへ入荷しています。国内の場合、どんな温度で何時間かけて市場に入り、そこから各工場へ納品されるかは証明することができません。

インパックの場合、エチオピアの生産者が梱包した際、出荷前にTTTimer(温度時間値を見るデバイス)をすべてのボックスに貼り付け、アジスアベバ(空港) - 飛行機 - 成田空港 - インパック(IFLの冷蔵倉庫)、この一連の流れで入荷直後の温度時間値はおよそTTV(温度時間値)600前後です。本来TTV 500以下で入荷するのが良いとされていますが、16時間かかる飛行機の中は温度コントロールが効きません。およそ10℃から12℃程となります。これが5℃となると恐らくTTV 500近くになります。

この様に、温度時間値は鮮度を表す指標となります。入荷までが500以下、加工場から量販店店頭までが200、店頭3日間で1,500(500×3)となり、合計1,700となります。切り花の生命力は温度時間値で表すと7,500です。7,500-1,700=5,800となります。花は1日約500(24時間×20℃)づつ生命力を失っていきます。この場合、20℃の部屋に置かれた時、約11日の日持ちとなります。安全率30%を差し引くと、丁度7日から8日の日持ちとなります。
 

2022年08月10日(水)更新

量販店における花の包装

日本ではおよそ35年前、量販店の店頭(セルフ売り場)にパックされた切り花が並びました。1987年の全農花きセンターによる加工とダイエー碑文谷店での販売の話は業界ではあまりに有名です。

この時の包装資材はOPP(オリエンテッドポリプロピレン)でした。優れた透明感を持つ二軸延伸ポリプロピレンです。この時代は長く続き、今でも切り花の包装資材の主体となっています。他のフィルムと比較も安価で加工のしやすさなど優れた点を多く持つフィルムです。しかしOPPだけ、を許さない時代に入りました。一昨年辺りからバイオマスプラスチックの登場があり、インパックもバイオマスマークの取得をいたしました。勿論その系統のスリーブの取り扱いもあります。
更に紙スリーブが海外の市場で一部見られ始め、国内でもインパックが他に先駆け製品化を行いました。既に一部の量販店の店頭には並び始めています。また今月中には他のスーパーにも並ぶことになっています。
この様に書きますと、プラスチックの代用として紙があるかのように聞こえますが、そうではなく、紙と花の相性、などを考えると花の包装は紙でなくてはならないといった多少強い考えになります。一方プラスチックは前のままではすまないでしょうから、バイオマスプラスチックの登場が考えられます。

つまりバイオマスフィルムはOPPの代替品として登場してきました。しかし紙はOPPの代替品ではなく、紙でなければならないといった本質的な面からの登場でもあります。紙を使用した切り花の新製品を考える必要があります。価格の事を考えてもOPPの袋に比較すると3倍、4倍のコストですから、単にプラスチックの代替品では済みません。紙スリーブを使用した、全く新たな商品を作り出す必要があると考えています。
 

2022年07月19日(火)更新

人工光合成

新たな技術の中で、個人的に最も興味を引くのは人工光合成です。

植物の世界にしかありえなかった光合成が、10社ほどの大手の研究所で研究が始まり、今佳境に入っているようです。それは実験室の中ではありますが、植物が自ら行う光合成より
効率の良い人工光合成の結果が得られ始めたという事です。もちろん先は長いようですが、明らかに一つのヤマを越えています。7月4日にも書かせていただきました。

人工光合成は植物が行う光合成と同じで、水素と酸素を分け、その後水素と炭素を結合させることでエネルギーが得られます。具体的には水素にいくつの炭素を結合させるかです。水素4つに炭素1つがメタン(CH4)、3~4がLPG、5~10がガソリン、11~15が灯油、16~19が軽油となります。

こうなればエチレン、ポリプロピレンなどは手に入ります。エチレンやポリプロピレンは様々な石油製品の元となりますので原油を掘るのと同じになります。
後はその処理の方法です。アジアではポリプロピレンだけを集め、再生ポリプロピレンのフィルムを作り始めました。

様々な種類のあるフィルム(ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)を種類ごとに油化にして再度同じものを作ることで完全な再生が可能となります。
私は石油製品の場合、人工光合成によって生産され、処理は品種別の回収、油化、そして再生が良いのではないかと考えています。つまり、今ゴミとされているものが全て原料となる時代です。
 

2022年07月13日(水)更新

モデルかも?

赤坂見附から伸びる一本の道があります。みすじ通りです。
ここに一軒のコーヒーの焙煎所があります。とても人気のある店です。

ドリップする不織布の商品が誠に上手く出来ていて、何かコーヒーをおいしくいただける気がします。しかし有名なコーヒーメーカーの同様の商品と比較すると、お湯を入れるまでに時間がかかり、更に開け方も難しく時にはコーヒーをこぼすこともあり、始めはかなり大変です。この点はどうやら不評らしく、最近はカラーで説明書を印刷したものを都度もらってきます。人に差し上げる際、これがないとコーヒーが飲めなくなっては気の毒すぎるからです。私の場合は最近すっかり慣れて説明書を見なくても上手にコーヒーを入れることが出来るようになりました。

この様に焙煎専門のお店には、産地別、品種別、更には独自のブレンド別で商品が並び、売り上げベストスリーなどが並べられ、購入する際とても役に立っています。この店の様に、取り扱う商品を一人前ごとにドリップできるパッケージとして販売する方法は、きっと新しいと思います。他の焙煎所ではあまり見かけません。安いもので180円、高いものでは300円を超えています。

この販売方法は店も、購入者も互いに幸せです。
 

2022年07月04日(月)更新

光合成

太陽の光はまんべんなく地球上にその光をふり注いでくれます。その光を利用した無公害型の安全な発電では大きな期待が持たれているのは承知の通りです。太陽光の利用は、発電などがその主体かと思っていましたが、最近人工光合成の話がにわかに高まってきています。大手企業の中には既に開発が始まり、最近では実験室の中では効率の良い結果が生まれてきている様です。しかし植物は自分のために使うため、それでいいのですが人工的に光合成をおこなうことになると更に高い効率を求められることになります。いずれ今より更に高い効率で結果を見ることが出来るでしょう。

人工の光合成は結果として水素と酸素を作ります。作られた酸素と水素を分け、今度はそのうち水素だけを取り出し今度は炭素と結びつけます。そこから「エチレン」が生まれてきます。更に他の材も生まれてくるでしょう。
エチレンは様々な石油製品であるポリエチレンもポリプロピレンも、更に多くの製品を生むことが出来ます。
そこから先の出来上がった後の処理は油化技術が良いでしょう。再度油に戻し、再製品化するのです。環境問題に発展させないことが可能となります。

今私は人工光合成に最も興味を持っています。
 

2022年06月14日(火)更新

プラスチック再生

昨日社内で、ある勉強会がありました。昔から親しくさせて頂いている小國盛稔先生を講師にお迎えしています。先生は45年ほど前、プラスチックフィルムの加工メーカーとして有名な藤森工業の課長時代からお付き合いのある方です。その後、研究所を経てフジモリプラケミカルの社長、藤森工業の取締役を歴任され、現在は社団法人日本食品包装協会の専務理事をお務めになっています。また食品包装関連の雑誌などを見ると、あちこちに先生の名前を見ることが出来ます。大変有名な方です。

基本インパックの幹部の皆さんにもっと包装の事を知っていただくために開いている勉強会ですが、私が長い間分からなかったことが昨日の会で氷解いたしました。
ポリエチレンやポリプロピレン単体や、最も有名なところではペットボトルなどは同じ材質の為、再生化がかなり進んでいます。しかし食品の包装材料であるラミネートなどの材はいかにして再生するのか分かっていまませんでした。
先生の話では、今後はできるだけモノマテリアル化を進め、ポリエチレン単体、ポロプロピレン単体にしていくとのです。いろいろな材質のフィルムを混ぜないことです。しかしラミネートフィルの中には簡単にいかない例が沢山あります。しかし、ここに透明蒸着の技術が生かされることになります。アルミナ蒸着、酸化ケイ素蒸着を行うことで、ガス透過性を一気に向上させ食品の酸化を防ぐことが出来ます。つまり食品保存には酸素の透過性を一桁台にする必要があります。(PE、PPなどは4桁)従来PVDC〈ポリ塩化ビニリデン〉系にフィルムやコーティングを活用し酸化防止策を行ってきました。しかし透明蒸着が主体となると、高級フィルムを使わずとも一般フィルム(PE,PP等)に透明蒸着を施すことで酸化を防ぐことになり、更にモノマテリアルとして再生化がグッと身近なものになってきます。

一方、昔からのプラスチックの再生の原則は「油化」と言われています。この数十年油化は良いと分かっていても国家としては進めていませんでした。油化のいい点はエチレンを作る工程と同じです。つまり再生するプラスチックを油化することで、いきなりエチレンを作り、そこから様々なプラスチックを作り上げていくことになります。CO2の発生も少なくて済みます。

今後のプラスチック加工は極力モノマテリアル化させる、更に油化に向かって業界を挙げて努力する。この道筋が良いようです。今回の勉強会で数十年不明だったことが分かりました。
 
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会社概要

2018年インパック株式会社(事業会社)の代表取締役に守重へきろう就任 IPホールディングス株式会社(持株会社)設立 代表取締役に守重知量就任 2016年花の鮮度保持管理コンサルティング会社 フラワーウォッチジャパン株式会社設立(子会社) 2014年東京オフィス本社移転...

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