大きくする 標準 小さくする

2021年11月22日(月)更新

白竜も偉い

いつでしたか、お能の羽衣の登場する天女(シテ)の冠についている花は何かと思っていたところ、ラジオの中で庭に咲いていたボタンがあまりに見事なので、それを使ったと話していました。しばらく不明でしたが、この時よくわかりました。

同じく羽衣の中で、天女が松の木にかけていた羽衣を土地の漁師の白竜が家に持ち帰ろうとしていたところ、天女が遠くからその衣は自分のだと言って近づいてきます。天女はそれがないと天に戻れないと大いに嘆き、羽衣を返して欲しいと懇願します。白竜は天女の落胆ぶりに舞を見せてくれれば羽衣を返すことにしましたが、羽衣を先に返すとそのまま天に戻ってしまうのではないかと疑います。

その時天女は「疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」と言います。ここはある意味で羽衣の最も重要なところでもあります。問題は白竜で、この言葉を聞き大いに恥じ入ります。結果羽衣を返すことに致しました。天女は羽衣を羽織り天から宝物を降らせ、約束通り舞を舞います。今まで天女の言動が素晴らしいと感じていましたが、相手の白竜の天女の言葉に「恥じ入る」ところも素晴らしいと思い始めています。羽衣を返す白竜があって、初めてこのお能は成立しています。私も白竜のような素直な人になりたいものだと感じています。

お能の目的の一つは多くの人たちに宗教観、人生などをそっと教えてくれることなのかもしれません。