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2022年06月14日(火)更新

プラスチック再生

昨日社内で、ある勉強会がありました。昔から親しくさせて頂いている小國盛稔先生を講師にお迎えしています。先生は45年ほど前、プラスチックフィルムの加工メーカーとして有名な藤森工業の課長時代からお付き合いのある方です。その後、研究所を経てフジモリプラケミカルの社長、藤森工業の取締役を歴任され、現在は社団法人日本食品包装協会の専務理事をお務めになっています。また食品包装関連の雑誌などを見ると、あちこちに先生の名前を見ることが出来ます。大変有名な方です。

基本インパックの幹部の皆さんにもっと包装の事を知っていただくために開いている勉強会ですが、私が長い間分からなかったことが昨日の会で氷解いたしました。
ポリエチレンやポリプロピレン単体や、最も有名なところではペットボトルなどは同じ材質の為、再生化がかなり進んでいます。しかし食品の包装材料であるラミネートなどの材はいかにして再生するのか分かっていまませんでした。
先生の話では、今後はできるだけモノマテリアル化を進め、ポリエチレン単体、ポロプロピレン単体にしていくとのです。いろいろな材質のフィルムを混ぜないことです。しかしラミネートフィルの中には簡単にいかない例が沢山あります。しかし、ここに透明蒸着の技術が生かされることになります。アルミナ蒸着、酸化ケイ素蒸着を行うことで、ガス透過性を一気に向上させ食品の酸化を防ぐことが出来ます。つまり食品保存には酸素の透過性を一桁台にする必要があります。(PE、PPなどは4桁)従来PVDC〈ポリ塩化ビニリデン〉系にフィルムやコーティングを活用し酸化防止策を行ってきました。しかし透明蒸着が主体となると、高級フィルムを使わずとも一般フィルム(PE,PP等)に透明蒸着を施すことで酸化を防ぐことになり、更にモノマテリアルとして再生化がグッと身近なものになってきます。

一方、昔からのプラスチックの再生の原則は「油化」と言われています。この数十年油化は良いと分かっていても国家としては進めていませんでした。油化のいい点はエチレンを作る工程と同じです。つまり再生するプラスチックを油化することで、いきなりエチレンを作り、そこから様々なプラスチックを作り上げていくことになります。CO2の発生も少なくて済みます。

今後のプラスチック加工は極力モノマテリアル化させる、更に油化に向かって業界を挙げて努力する。この道筋が良いようです。今回の勉強会で数十年不明だったことが分かりました。
 

2022年06月01日(水)更新

驚きの技術革新

その工場は木々に囲まれた工業団地の中にありました。まるで緑の工場です。

とけるフィルムというだけでインパクトがありますが、私は今から40年以上前からこのことは知っていました。当時私の尊敬する経営者の方からお醤油のフィルムを教えて頂きました。お寿司のネタとご飯の間にフィルムを挟み食べてみるとお醤油を付けなくても、お醤油を付けたのと同じ味がするのです。今回ご紹介いただいたメーカーはその考えと同じ様々な商品を作り出しています。
以前と異なるのは大分領域が広がり、食品から、健康食品、医薬品に至るまで商品開発を行っています。口の中でも解けますが、基本としてみずやお湯の中で溶けるのです。昔は林原研究所で溶けるフィルムを作っていましたが、現在ではこちらが生産しています。
電車の中で急におなかが痛くなった時、その薬はありますが、飲むためには水が必要です。このメーカーで開発しているフィルムはそのまま口に入れるとフィルムが解けるのと同時に薬も解け腹痛に聞くように出来ています。

花業界でも応用が利きそうです。早速社内で話し合うつもりです。
誰にもできない仕事するのはきっと大変です。会社の入り口に多くの特許が掲げられていました。
 

2022年01月25日(火)更新

今後もテレビ会議

今朝は一番の新幹線で大阪に行くことになりました。普段親しくして頂いているジャーナリストの先生から大手のホームセンターの社長様をご紹介いただくための出張です。

考えてみると大阪へは2年丸々出かけていません。大阪もですが、どこにも行っていませんでした。今までこんなことはありません。やはりコロナの関係で一度も行っていません。こんなことが出来たのか、といえば間違いなくテレビ会議です。既に10年前にはテレビ会議システムを導入していましたが、使用頻度は低く、週に一回くらいでした。しかし今では多いときは日に3回、4回とディスプレイの前に座ります。昔はNTTのシステムで動かしていましたが、今はZOOMでやっています。勿論、会議の相手によってはZOOMの信頼性を上げ、別のソフトでやることも多くあります。
どれをとっても使いやすく、大変便利です。

始めはいずれ、コロナが明ければ元の通り出張し、直接お会いして、と思っていましたが、ことによるとテレビ会議が中心になるかもしません。往復の時間がいらない、国内はともかく海外との関係でも時間短縮は言うに及びません。更に同時に別々の場所から入れます。便利が過ぎ、先日は車を走らせながら会議に参加していましたが、ほかの参加者から集中砲火を浴びました。二度としないことにしています。

間違いなく、コロナ後もテレビ会議でしょう。
 

2022年01月21日(金)更新

新幹線物流

昨日に続き、花の物流の話です。温度時間値は長期の輸送の場合(2週間から3週間)、ほとんど船を利用することになります。この場合、海上コンテナの場合ほぼ0.5℃で運ばれます。温度時間値はどうなるでしょう。0.5℃x24時間x20日で240TTv(温度時間値となります。飛行機で16時間かけ、エチオピアからくる飛行機は12℃x16時間となり、192TTvとなり、飛行機の方が有利になりますが、約2日で到着する飛行機と船の20日とでは10倍以上も違いますから、かなり驚くべき数字です

つまり同じ温度であれば、より早く着く方が良いことになります。現在花の国内輸送はトラックが中心となっていますが、例えば速度が速い新幹線を利用できれば花は有利に目的地へ到着することになります。
仮に東京―福岡であれば約1200kmとなります。トラックで運ぶと約20時間、新幹線であれば5.5時間となります。トラックの場合、20時間x7℃=140TTvとなり、新幹線の場合は5.5時間x20℃=110TTvで、新幹線の方が有利となります。

以上のことからも時速300km近くで走る新幹線は物流の常識を変えていく可能性があります。切り花のような高価格帯の商品は新幹線物流に最適な商品かも知れません。
 

2022年01月20日(木)更新

日持保証販売の条件 TTIは第二の画期

切り花の鮮度をいかに見るかは、昔から生産者、市場関係者、生花店さんの独壇場でした。消費者は購入後、部屋、玄関などに飾り始めて、日持ちがする、しないで鮮度を見てきました。つまり消費者の皆さんは、購入してからでなければ花の鮮度は分からなかったのです。

今から20年ほど前、イギリスで始まった切り花販売の新たな方法で、花の消費が次第に増えてきました。それが「日持保証販売」です。インパックの所属するJFMA(日本フローラルマーケティング協会)では何度もイギリスへのツアーを組み、一体どうすればこのような売りからが可能なのかを調査していきました。また、インパックも総勢10名ほどで独自にオランダの調査会社に依頼し、オランダ、イギリスの小売店の日持ち実態調査を行ってきました。この時が切り花販売の最初の画期でした。
結果、日持保証販売を行う絶対条件はコールドチェーンの完成が入り口にありました。同じように温度管理された切り花であって、加工現場も物流場面も同じように管理された中で切り花の輸送が行われて初めて「日持保証販売」が可能になることがようやく分かりました。まずはインフラ整備なのです。
現在国内では60~70%が温度管理された中で流通されています。一気通貫しているのであればいいのですが、冷蔵車とドライが混在している中では日持保証販売は難しいのです。

現在インパックはTTI(温度時間値インジケーター)を開発いたしました(北大との共同開発)。これは温度と時間の掛け算で数字を出し、その数字を色で表すものです。これを使用することで切り花の保管、輸送の結果が目視で分かることになります。切り花の日持ち保証販売に十分役立つものと考えています。イギリスへ一歩近づいたことになります。
TTIも間違いなく切り花販売の第二の画期となるでしょう。
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