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2022年08月10日(水)更新

量販店における花の包装

日本ではおよそ35年前、量販店の店頭(セルフ売り場)にパックされた切り花が並びました。1987年の全農花きセンターによる加工とダイエー碑文谷店での販売の話は業界ではあまりに有名です。

この時の包装資材はOPP(オリエンテッドポリプロピレン)でした。優れた透明感を持つ二軸延伸ポリプロピレンです。この時代は長く続き、今でも切り花の包装資材の主体となっています。他のフィルムと比較も安価で加工のしやすさなど優れた点を多く持つフィルムです。しかしOPPだけ、を許さない時代に入りました。一昨年辺りからバイオマスプラスチックの登場があり、インパックもバイオマスマークの取得をいたしました。勿論その系統のスリーブの取り扱いもあります。
更に紙スリーブが海外の市場で一部見られ始め、国内でもインパックが他に先駆け製品化を行いました。既に一部の量販店の店頭には並び始めています。また今月中には他のスーパーにも並ぶことになっています。
この様に書きますと、プラスチックの代用として紙があるかのように聞こえますが、そうではなく、紙と花の相性、などを考えると花の包装は紙でなくてはならないといった多少強い考えになります。一方プラスチックは前のままではすまないでしょうから、バイオマスプラスチックの登場が考えられます。

つまりバイオマスフィルムはOPPの代替品として登場してきました。しかし紙はOPPの代替品ではなく、紙でなければならないといった本質的な面からの登場でもあります。紙を使用した切り花の新製品を考える必要があります。価格の事を考えてもOPPの袋に比較すると3倍、4倍のコストですから、単にプラスチックの代替品では済みません。紙スリーブを使用した、全く新たな商品を作り出す必要があると考えています。
 

2022年07月19日(火)更新

人工光合成

新たな技術の中で、個人的に最も興味を引くのは人工光合成です。

植物の世界にしかありえなかった光合成が、10社ほどの大手の研究所で研究が始まり、今佳境に入っているようです。それは実験室の中ではありますが、植物が自ら行う光合成より
効率の良い人工光合成の結果が得られ始めたという事です。もちろん先は長いようですが、明らかに一つのヤマを越えています。7月4日にも書かせていただきました。

人工光合成は植物が行う光合成と同じで、水素と酸素を分け、その後水素と炭素を結合させることでエネルギーが得られます。具体的には水素にいくつの炭素を結合させるかです。水素4つに炭素1つがメタン(CH4)、3~4がLPG、5~10がガソリン、11~15が灯油、16~19が軽油となります。

こうなればエチレン、ポリプロピレンなどは手に入ります。エチレンやポリプロピレンは様々な石油製品の元となりますので原油を掘るのと同じになります。
後はその処理の方法です。アジアではポリプロピレンだけを集め、再生ポリプロピレンのフィルムを作り始めました。

様々な種類のあるフィルム(ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)を種類ごとに油化にして再度同じものを作ることで完全な再生が可能となります。
私は石油製品の場合、人工光合成によって生産され、処理は品種別の回収、油化、そして再生が良いのではないかと考えています。つまり、今ゴミとされているものが全て原料となる時代です。
 

2022年07月13日(水)更新

モデルかも?

赤坂見附から伸びる一本の道があります。みすじ通りです。
ここに一軒のコーヒーの焙煎所があります。とても人気のある店です。

ドリップする不織布の商品が誠に上手く出来ていて、何かコーヒーをおいしくいただける気がします。しかし有名なコーヒーメーカーの同様の商品と比較すると、お湯を入れるまでに時間がかかり、更に開け方も難しく時にはコーヒーをこぼすこともあり、始めはかなり大変です。この点はどうやら不評らしく、最近はカラーで説明書を印刷したものを都度もらってきます。人に差し上げる際、これがないとコーヒーが飲めなくなっては気の毒すぎるからです。私の場合は最近すっかり慣れて説明書を見なくても上手にコーヒーを入れることが出来るようになりました。

この様に焙煎専門のお店には、産地別、品種別、更には独自のブレンド別で商品が並び、売り上げベストスリーなどが並べられ、購入する際とても役に立っています。この店の様に、取り扱う商品を一人前ごとにドリップできるパッケージとして販売する方法は、きっと新しいと思います。他の焙煎所ではあまり見かけません。安いもので180円、高いものでは300円を超えています。

この販売方法は店も、購入者も互いに幸せです。
 

2022年07月04日(月)更新

光合成

太陽の光はまんべんなく地球上にその光をふり注いでくれます。その光を利用した無公害型の安全な発電では大きな期待が持たれているのは承知の通りです。太陽光の利用は、発電などがその主体かと思っていましたが、最近人工光合成の話がにわかに高まってきています。大手企業の中には既に開発が始まり、最近では実験室の中では効率の良い結果が生まれてきている様です。しかし植物は自分のために使うため、それでいいのですが人工的に光合成をおこなうことになると更に高い効率を求められることになります。いずれ今より更に高い効率で結果を見ることが出来るでしょう。

人工の光合成は結果として水素と酸素を作ります。作られた酸素と水素を分け、今度はそのうち水素だけを取り出し今度は炭素と結びつけます。そこから「エチレン」が生まれてきます。更に他の材も生まれてくるでしょう。
エチレンは様々な石油製品であるポリエチレンもポリプロピレンも、更に多くの製品を生むことが出来ます。
そこから先の出来上がった後の処理は油化技術が良いでしょう。再度油に戻し、再製品化するのです。環境問題に発展させないことが可能となります。

今私は人工光合成に最も興味を持っています。
 

2022年06月14日(火)更新

プラスチック再生

昨日社内で、ある勉強会がありました。昔から親しくさせて頂いている小國盛稔先生を講師にお迎えしています。先生は45年ほど前、プラスチックフィルムの加工メーカーとして有名な藤森工業の課長時代からお付き合いのある方です。その後、研究所を経てフジモリプラケミカルの社長、藤森工業の取締役を歴任され、現在は社団法人日本食品包装協会の専務理事をお務めになっています。また食品包装関連の雑誌などを見ると、あちこちに先生の名前を見ることが出来ます。大変有名な方です。

基本インパックの幹部の皆さんにもっと包装の事を知っていただくために開いている勉強会ですが、私が長い間分からなかったことが昨日の会で氷解いたしました。
ポリエチレンやポリプロピレン単体や、最も有名なところではペットボトルなどは同じ材質の為、再生化がかなり進んでいます。しかし食品の包装材料であるラミネートなどの材はいかにして再生するのか分かっていまませんでした。
先生の話では、今後はできるだけモノマテリアル化を進め、ポリエチレン単体、ポロプロピレン単体にしていくとのです。いろいろな材質のフィルムを混ぜないことです。しかしラミネートフィルの中には簡単にいかない例が沢山あります。しかし、ここに透明蒸着の技術が生かされることになります。アルミナ蒸着、酸化ケイ素蒸着を行うことで、ガス透過性を一気に向上させ食品の酸化を防ぐことが出来ます。つまり食品保存には酸素の透過性を一桁台にする必要があります。(PE、PPなどは4桁)従来PVDC〈ポリ塩化ビニリデン〉系にフィルムやコーティングを活用し酸化防止策を行ってきました。しかし透明蒸着が主体となると、高級フィルムを使わずとも一般フィルム(PE,PP等)に透明蒸着を施すことで酸化を防ぐことになり、更にモノマテリアルとして再生化がグッと身近なものになってきます。

一方、昔からのプラスチックの再生の原則は「油化」と言われています。この数十年油化は良いと分かっていても国家としては進めていませんでした。油化のいい点はエチレンを作る工程と同じです。つまり再生するプラスチックを油化することで、いきなりエチレンを作り、そこから様々なプラスチックを作り上げていくことになります。CO2の発生も少なくて済みます。

今後のプラスチック加工は極力モノマテリアル化させる、更に油化に向かって業界を挙げて努力する。この道筋が良いようです。今回の勉強会で数十年不明だったことが分かりました。
 
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