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2025年05月08日(木)更新

翁付五番立

いきなりお能の事になりました。お許し願います。
伝統芸能の一つにお能があります。そこに生きる先生方は長年の伝統を背負って日々公演に、お稽古に忙しくされていますが、お能は短いものでも60分、長いもので120分ほどの舞台になります。演じる先生方はシテ方、ワキ方、囃子方、地謡方、更には舞台を常に眺めている後見の先生方等がおられます。お能の特徴的な事かも知れませんが、演じる舞台に関係する先生方は舞台で演じる役が何であってもお能全てを御存じで、シテ方の先生もワキ方の先生も、囃子方の先生たちも全ていつでも諳んじることが可能です。シテ方の先生方はシテ方の部分を知っていればいいのではありません。ワキ方の先生もシテ方のセリフを全てご存じです。それは囃子方の先生も同じです。つまり全ての先生は丸々謡本が頭に入っているのです。
能舞台には囃子方(小鼓、大鼓、太鼓、笛)と地謡方以外何も見えません、時々舞台に鐘があったり、松があったり、四角い建物があったりします。しかし多くの場合それすらありません。つまり何もないところで先生方は演じられます。見る方は全て想像の中で舞台を見ています。笛の音で舞台が一変したことを知ることにもなります。それでも舞台には何も変化もありません。後は演じられる先生がたの謡、舞ですべてを表します。
見る側に様々想像させる演技は素晴らしいものがあります。それをいつでも10番でも20番でも演じる先生は大変な力量をお持ちです。勿論事前のお稽古をすれば何十番でも出来るようです。舞台に入るまえ衣装に着替えた瞬間役者からシテ方やワキ方の役そのものになります。

お能の中で格調の高い演能形式の一つに「翁付五番立」があります。
これは翁をまず初めに上演し、その後お能を五番、狂言を4つ組み合わせたものです。一年に一回上演される式能(徳川時代に始まりました)はこの翁付五番立となっています。式能の中では五流派の先生方が別々に行うことになっていますが、最近、観世流宗家の観世清和先生がお一人で演じられました。恐らく10時間を超えるものだともいます。勿論4つの狂言が間に入ります。それでも7~8時間は演じられます。
全く異なった役柄を1日に五番演じられるもの凄さは普通ではありません。精神も体力も使い果たす様な事だと思います。
 
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